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「来風、お前もさ、お世話になった自分の家の稽古場くらい掃除したらどうだ? そうだ。残ってるのはトイレだからそこを掃除したらわかるよ」
「はぁ? そんなもの、掃除屋にでも任せたらいいだろ?! 誰がそんな汚いところ掃除するんだよ。それと春原となんの関係があるんだ! 大体全く理解できないよ。こんな安い服しか持ってないような飾り気も何もないつまらない男と付き合ったり、結婚したりさ。あんたもつまらない男になっちゃったもんだね」
来風さんは横目でちらっと見下したように僕を見た。
「守のことを何も知らないお前に彼のことを悪く言う資格なんてないな。俺から言わせたらお前の方がよっぽどつまらないよ」
「なんだって?!」
頭にきた来風さんはコーヒーのカップを傍にあるテーブルに叩きつけるように置くとこちらに足早に歩いてきた。僕は慌てた。彼は隆二に掴みかかろうとしたからだ。
僕は彼らの間に入って必死に来風さんを止めた。
「やめてくださいっ! ら、来風さんはそのっお洒落でかっこいいですよ? ほんとです、トイレ掃除なら僕がやりますから」
「お前と守を裸にしたらどっちが綺麗か。俺には守の方が遥かに綺麗に愛しく見えるよ。それがわからないようじゃたぶんお前の事を俺が好きになることは一生ない」
ぴしゃりと言い放つと、隆二は残りのところを綺麗にしてモップを置くと僕より先にトイレの掃除をしに行ってしまった。
「意味わかんねぇよ、トイレ掃除するお前が好きなのかあいつ?」
「さ、さぁ……」
「裸だったら俺の方が鍛えてるしエステにも通ってるから輝くほど綺麗だぞ、なんだよそれっ」
「エステ、いいですねぇ……」
「お前はどう思ってるんだよ、わかってるのか?」
「あ、さぁ……」
「うぁーイライラする。なんなんだよお前らは!」
来風さんはイライラしたまま怒って稽古場の階段を駆け上がっていった。
「来風さん……」
「守、まだか~?」
隆二がトイレのドアから顔を覗かせる。
「隆二、来風さんが行っちゃったよ」
「気にするな」
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