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ではなぜ第二世代では技術が重視されたのか。
高性能の武器を使う技術ではなく、ただの長剣や長槍、短剣などの技術を、まるで洗脳するかのように盲信させた時代だ。
「武器の性能を国民の目から背けさせたかったからさ。 国がその流れを作ったんだ」
カナミの言葉に、ステリが感嘆の声を上げる。
出来上がったのがジルバートのような頭の固い技術主義者。
これは国の思惑通りの結果であり、兵法などもそれを基本として作られている。
しかしそうも上手くいかないもので、時代と共に武器の性能は発展していった。
繰り返されようとしている改造武器の歴史はもはや止めることができず、現在に至っている。
「……カナミはそんなに恐ろしい武器を作ったのですか?」
そう問いかけられて、カナミは急に押し黙った。
そうとも言えるが、一概にそうとは言い切れない。
確かに殺傷能力自体は高いものばかりだが、だからといって一概に否定できるものばかりではないからだ。
性能はどれも高く、もしかしたら他の物に応用できたかもしれない加工技術もある。
「ステリ様! 新たな町に着きました!」
またジルバートはカナミの名前を呼ばなかった。
呼んだところで投獄されているため、外に出て様子を見ることはできない。
カナミは会話を終わらせるように寝返りをうって、ステリは名残惜しそうにしながらも馬車の入り口から顔を出した。
ここは特に何も無いと旅行記に書かれている普通の町チュート。
首都の近くだがそれほど近くないという半端な場所にある、普通の町。
取り敢えず必要なものは一通り揃うが、品揃えや満足度は首都に及ばない、普通の町。
辛うじて果樹園があったりもするが、そこまでイチオシでもない普通の町だ。
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