4人が本棚に入れています
本棚に追加
本当に悪の組織と戦う日が来るなんて、あの頃の僕には想像することもできなかった。
戦いながら繰り出す技は、全て父さんが教えてくれたもの。
そして、変身することができたのは全て、母さんがあきらめずに愛情を注いでくれたから。
「いいか、星夜、俺達が戦うのはテロリストでも天災でもない、悪の組織だ。怪物だ。それを分別できるよう、本当の勇気を知れ」
「お父さんとお母さんは、いつも星夜の事を想っているから、遠くに行ったって、ずっとよ」
秘密基地にある僕のデスクには親子3人の写真が飾ってある。12歳の誕生日の時の写真だ。
あの日父さんは、珍しく写真撮ろうなんて言い出したんだっけ。
何故その写真を飾っているかというと、その時の卑屈な自分こそが僕が初めて倒した怪物だと思うから。
反抗的な視線を向ける僕がその中にいる。
あれは思春期の始まりだったんだな。
今思えば、あの時の苛立ちは反抗期という簡単な言葉で片ずけられるが、僕はまるで身体の中に怪物を飼っているかのように荒んでいたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!