終章

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@@@@@@@ 「私はジェイス王子を選ぶべきだったわ」 アイリーンは眉間に皺を寄せ、溜息をつく。 「おいおい、そんなはっきりと言うなよ」とジョニーは訴える。 「どう考えてもジェイスの方が顔も器量も良かったのに。なんて馬鹿なの!」 「それを言うなら俺だって踊り子のバーバラのほうが良かったんだぜ?」 「あんな巨乳のどこが良いのよ」とアイリーンは一緒に旅をしていたバーバラを思い出す。あんな男を誘惑するしか脳のない女のどこがいいのかアイリーンはいまだに理解ができない。おそらく一生わからないだろう。 「全部さ。それにバーバラは俺のことが好きだったんだぜ?」とジョニーは胸を張る。そういえばいつからかバーバラに会っていないことにジョニーは気付く。 「はぁ?何言っているのよ?バーバラなら武道家のケンとデキてたじゃないの」 「え?」 「あんた知らなかったの?」 「そんなばかな」 ジョニーは本当に知らなかった。 「魔の森って覚えている?」 「ああ、二人で迷い込んだ時だろ」 あれは大変だったな、とジョニーは懐かしむ。 「その時なんで二人がすぐに助けに来なかったと思っているのよ?」 「それは二人も迷ったからだろ」二人ともそう言っていたはずだ。 「何言っているのよ。二人でずっとテントに居たからに決まっているでしょ?あとは言わなくても分かるわよね」ばからしい、とアイリーンは首を横に振る。 「まさか冒険の途中で居なくなったのは……」 「そういうことよ」 「……なんてひどいんだ」アイリーンの言う通りバカじゃないか、とジョニーはうなだれた。そんなことってあるのか。
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