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「まだわしは許しておらんぞアイリーン!」サライ王は怒鳴りながらアイリーンとジョニーの元へ近づこうとするが、ジェイス王子がそれを止めた。「何をするんだ」と喚く王にジェイスはただ首を横に振るだけだった。
「ジョニー」
アイリーンはただ真っ直ぐにジョニーの瞳を見つめる。周りがどんなに騒がしくしようが、関係ない。
「しかし……アイリーン様……」
「いつもみたいに呼んでよ、ジョニー」
アイリーンは彼の名前を口にする度に愛おしさが増してくるのを感じていた。
「アイリ……」
いつだってジョニーの隣にはアイリーンがいた。どんな時でも支えてくれたのは彼女だった。傷ついた体を癒してくれたのは彼女だった。俺がいるから大丈夫だよ、何度も彼女に向けて口にした言葉だったが、違った。アイリーンが居たから大丈夫だったのだ。
「ねぇ、ジョニー」アイリーンは微笑みながら話し掛ける。
「あの誓いを覚えている?」
死の山の火口に落ちた時だった。
奇跡的に助かったジョニーは、無事にアイリーンと再会することができたのだが、アイリーンの涙は止まらない。
その時に誓いを立てたのだ。アイリーンの傍からもう二度と離れないことを。
「覚えているよ」
ジョニーはそう囁くと、アイリーンを一度強く抱きしめ、王の前へ歩み出した。もう迷う必要はない。
「サライ王!」
ジョニーは王に跪(ひざまづ)く。
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