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「何が”紡がれていく”よ!あんな剣誰でも抜けるんだから!」
アイリーンのいら立ちはなお収まらない。それにしてもようやく終わったわ、ページが次にめくれる瞬間しか自由に動けないなんて、最悪よね、と呟き、これからのことを考えると顔を歪めた。
「これからお城で平和に暮らすだなんて信じられないわ」
未だに振ってくる水を払いながら睨むように空を見た。
「あれ?」
「どうしたアイリ?」隣にいたジョニーが声を掛ける。
「何呼んでいるのよ図々しい!」それよりも見てよあれ、とアイリーンは空を指差した。
「に、滲んでいる?」
「それだけじゃないわよ。よく見なさい」
「なんじゃなんじゃ」サライ王も寄ってくる。
「ま、まさか違う世界?」
そんなばかな、とジョニーは目をこするが、はっきりと見える。違う世界に行けるかもしれない?
「私は行くわ」アイリーンははっきりと口にした。
「こんな世界うんざりだもの」
「行くって?どうやって」
「あんた空飛べるじゃないの?」
「ああそういえば。でも」他の人を持ち上げるなんて無理だ。
「私の精霊魔法があるわ」
「……俺の力が何倍にも膨れ上がるか」あの掛け声をもう一度聞けるかもしれない、とジョニーは少しワクワクした。
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