817人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
車に乗ると、おじいが発車させた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。
朝からすまないな」
「いえ。
それよりよかったのですか?そのままで…」
「……ああ。
……それより、後藤が会いたいって?」
俺は話題を避けるため、話を逸らした。
「はい、そうなんです。
いくら連絡しても出てくれないとお怒りのご様子で…」
ああ、あの何度もかかってくる電話は後藤里緒だったのか。
わからなくて出なかったのだ。
「用件は、なんて?」
「それが、直接坊ちゃんにと…」
「坊ちゃんはやめろ。
もう子供じゃない」
「すみません。
ですが、私からしたらまだまだ子供ですよ、専務」
そう、おじいは昔から俺の面倒を見てくれている。
もちろん蛍とのことも知っていた。
最初のコメントを投稿しよう!