終章

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大学を留年したため,28歳で就職して3年目,仕事の要領もやっとつかめてきた。 珍しく定時に終わったので普段は遭遇しない帰宅ラッシュの洗礼を受けながら久しぶりに飲みに行こうかなんて受かれていた。 会社も自宅も通勤に便利な駅から徒歩5分圏内なのが会社を選んだ理由のひとつでもある。 ただ難点があるとすれば,自宅のある駅から3駅離れたところに有名な観光地があるため,外国人や観光客が押し寄せることで,電車は時間を問わず基本的に多い。 そんな人口密度の高くなった電車に揺られている中,目の前に小さな女の子が母親にしがみついて立っていることに気がついた。 母親は小さなスーツケース,女の子はリュックを背負いっていたので観光に来たのだろうか? 母親はこちらに背を向けて,女の子と向かい合ってお互いが離れないようにしっかり抑えてとても親子の愛を感じる場面に,自分が歳をとってしまったことを実感しつつ,ほほえましく見ていた。
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