終章

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そんな風に思ってしまった以上はとその親子にできるだけスペースをあたえるべく,必死に背中からかかる圧力に抵抗していた。 スペースを作ったことがいけなかったのか,電車が駅に止まった時に母親が後ろに,つまり自分の方にふらついてきた。 とっさに背中を支え,大丈夫ですか?と聞くと, すみません,ありがとうございました。とこちらに振り返りながら謝罪とお礼をいってきた。 その瞬間,必死に人混みをかき分け,閉まりかけていたドアを開けて電車から降りた… 向こうは気づいたのだろうか? それとも気づくことすらなく忘れてしまったのだろうか? 俺は忘れてないよ,忘れられるわけがないよ。声を聞いてハッとしたし,きれいになったね。すぐにわかったよ。 いいお母さんになったんだね?素敵な生活できてるのかな? てかさ?地元に戻ったんじゃなかったっけ?なんでここにいるん? でもさ,奇蹟って起こるもんなんだね?
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