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止められた!
須藤は剣道は素人だ。
かなり顔は引きつっているが、俺の一撃が止められた!
不意を突かれたとは言え、素人に止められたことが俺のプライドに触れた。
竹刀の硬直を解くと須藤は右腕を抑えて、床に膝を着いた。
「須藤!? 大丈夫か?」
「うっせえ……それより、主役とメインヒロインと竹刀無しで劇の練習ができるとでも思ってんのかよ!」
智優は全員の竹刀を回収し、元の場所に戻した。
「劇までもう時間が無いんだ。直ぐ移動するぞ」
「そうだな。ごめん、直ぐ行く」
須藤の痛めた右腕は竹刀の構え方と力の入れ方の問題だ。
力負けしたら捻挫するような構え方をしていた。
でもあと数日のことだ。
今更矯正するのも手間がかかるし、逆に怪我の危険性が高まるかもしれない。
伝えるべきなのかもしれないが、俺は何も言わずに有紗の手を引いて劇の練習に向かった。
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