剣道

5/11
前へ
/33ページ
次へ
 その時の衝撃で起きると思ったけど、意外にも有紗は眠りについた。  少しだけ寝かしといてやるか。  そう思った時、俺達の前に智優が現れた。 「お取り込み中でした?」 「そんなことないよ」 「そうでしたか。あの、一つ伺ってもいいですか?」 「なんだい? 聞いてもいいよ」 「らすと君は告白したりしないんですか? 例えば有紗さんとかに」  いきなり右ストレートが飛んできたような質問だ。  でも、その対応には俺の中で綺麗に固まった解答がある。 「しないよ」 「理由を聞いてもいいですか?」 「智優なら分かると思ったんだけどな。意味が見出せないからだよ。青春という物で俺の心が潤ったとしても、人との関わりで俺の心が潤うとは思えない」 「青春と恋は切り離し難い物だと思っていたのですが……」 「俺の中では違ったみたいだ。でも、もし俺と付き合いたいって人がいるなら、その人のすべきことは単純なんだよ」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加