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「それはそうですけど……」
「大丈夫だよ。俺が負けるはずないだろ」
良く見ると慣れてない構えだ。
無理矢理見様見真似で繕ったような構え。
こいつ、ほんとは素人なんじゃ。
ただ、こいつの目は何を見ている?
「挨拶はいらねえ。来いよ」
転校生の言葉を聞いて俺は一呼吸で集中力を高めた。
両手で竹刀を構えた。
重心からズレ、揺れるように少しだけ動く転校生の剣先。
話にならない。
隙だらけだ。
面を狙ってくるなら少し恐いけど、骨が通ってないように力無い竹刀の動きからも、その可能性の薄さが分かる。
返しができないよう一発で終わらしてやる!
ほぼノーモーションからの俺の面だ!
素人にはかわせない!
右足を踏み出した直後、竹刀と竹刀の衝突音が聞こえた。
防がれた!?
いや、それより、腕と脚が痛い!
瞬発力が想像以上に低下している。
これでは俺の持ち味が……。
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