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そして防がれた時の転校生の面へと移行しようとするフェイントで俺は防具無しの恐怖が湧いてきた。
フェイントを見ただけでも分かる。
こいつは素人じゃない。
くそっ。
負けられるかよ。
体が言うことを聞かないのは相手も同じだ。
俺は右に寄り、連続で右から狙う面の途中で左の面を挟んだ。
全部今の俺の最速の面だ。
しかし全て防がれる、もしくはかわされる。
身長は俺の方が高い。
腕を伸ばせば転校生が届かない距離でも俺は届く。
なのに届かない。
徐々に徐々に転校生への恐怖が増していく。
ただ、何故攻めてこない。
「駄目だな。お前の剣は速え。恵まれた身体と経験。俗に言う才能というやつで洗礼されたお前の戦術は俺では再現できない」
転校生は楽しそうに喋り始めた。
「だから人真似はもうやめだ」
そう言いながら転校生は竹刀を片手で握った。
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