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「メイも、もう帰れないってわかってたんだな。だから4号ケーキを…………」
タツヒコの声を遮り、ナオヤは勢いよく立ち上がると玄関へと駆け出す。
「ナオヤ、どこへ行くんだ!」
「わかってるだろ、メイを…………」
「連れ戻せるわけないだろ。メイは戦うために作られた戦闘アンドロイドだ。人の代わりに戦うのがメイの役目だ。戦闘アンドロイドが戦場を放棄できるわけがない」
「でも…………」
「だいたい、お前は可愛がりすぎなんだよ。ただの管理者なのに、感情をいれすぎるから辛くなる」
タツヒコの言葉に、ナオヤはぐっと拳を握りしめる。
わかっている。初めからわかっていた。それでも…………
「タツヒコ!ケーキの予約を6号に変えておけ!」
そう叫び、ナオヤは上着も着ずに外へ飛び出した。
そんなナオヤをダイニングテーブルで見送ったタツヒコは、予約票を眺めながら深々とため息をつく。
上からの命令は絶対だ。28エリア行きの指示が覆るとは思えない。
でも、あの二人なら、もしかしたら…………
「行ってくるか」
予約票を手に立ち上がったタツヒコは、コートを羽織ると玄関を目指す。
これが全てのはじまりだった。
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