18センチに祈りをこめて

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「メイも、もう帰れないってわかってたんだな。だから4号ケーキを…………」  タツヒコの声を遮り、ナオヤは勢いよく立ち上がると玄関へと駆け出す。 「ナオヤ、どこへ行くんだ!」 「わかってるだろ、メイを…………」 「連れ戻せるわけないだろ。メイは戦うために作られた戦闘アンドロイドだ。人の代わりに戦うのがメイの役目だ。戦闘アンドロイドが戦場を放棄できるわけがない」 「でも…………」 「だいたい、お前は可愛がりすぎなんだよ。ただの管理者なのに、感情をいれすぎるから辛くなる」  タツヒコの言葉に、ナオヤはぐっと拳を握りしめる。  わかっている。初めからわかっていた。それでも………… 「タツヒコ!ケーキの予約を6号に変えておけ!」  そう叫び、ナオヤは上着も着ずに外へ飛び出した。  そんなナオヤをダイニングテーブルで見送ったタツヒコは、予約票を眺めながら深々とため息をつく。  上からの命令は絶対だ。28エリア行きの指示が覆るとは思えない。  でも、あの二人なら、もしかしたら………… 「行ってくるか」  予約票を手に立ち上がったタツヒコは、コートを羽織ると玄関を目指す。  これが全てのはじまりだった。
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