18センチに祈りをこめて

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「あぁ、メイ。遅かったな」  ようやく帰ってきたメイに、ダイニングテーブルでノートパソコンと向き合っていたナオヤが声をかける。だが、メイは呆然としたまま答えない。 「どうしたんだ?もうケーキ屋が閉まってたか?」  メイの帰りがあまりに遅いので、もしかしたらすでにケーキ屋が閉まっていて、別のケーキ屋へと行ったのではないかと心配していたのだ。 「あっ、いいえ。開いてましたよ。これ買ってきました。もちろん、ケーキも予約してきましたよ」  メイはケーキ屋の白い箱と、予約票をダイニングテーブルに置く。そして、箱の中からコーヒーゼリーを2個取り出す。 「シュークリームじゃなかったのか?」 「ナオヤさんとタツヒコさんは甘いものが苦手だから、こっちの方がいいかなと思って」 「ふ~ん…………で、メイの分は?」 「えっと…………ちょっと仕事が入っちゃって今から行かなきゃいけなくて…………」 「そっか…………」  急に仕事が入ることは珍しくない。どこか元気のないメイだったが、シュークリームが食べられないからだろうとナオヤは思っていた。 「メイ、何で4号ケーキにしたんだ?」  ダイニングテーブルの予約票に書かれた『4号』の文字。それに気がついたのはタツヒコだった。
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