41人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、メイ。遅かったな」
ようやく帰ってきたメイに、ダイニングテーブルでノートパソコンと向き合っていたナオヤが声をかける。だが、メイは呆然としたまま答えない。
「どうしたんだ?もうケーキ屋が閉まってたか?」
メイの帰りがあまりに遅いので、もしかしたらすでにケーキ屋が閉まっていて、別のケーキ屋へと行ったのではないかと心配していたのだ。
「あっ、いいえ。開いてましたよ。これ買ってきました。もちろん、ケーキも予約してきましたよ」
メイはケーキ屋の白い箱と、予約票をダイニングテーブルに置く。そして、箱の中からコーヒーゼリーを2個取り出す。
「シュークリームじゃなかったのか?」
「ナオヤさんとタツヒコさんは甘いものが苦手だから、こっちの方がいいかなと思って」
「ふ~ん…………で、メイの分は?」
「えっと…………ちょっと仕事が入っちゃって今から行かなきゃいけなくて…………」
「そっか…………」
急に仕事が入ることは珍しくない。どこか元気のないメイだったが、シュークリームが食べられないからだろうとナオヤは思っていた。
「メイ、何で4号ケーキにしたんだ?」
ダイニングテーブルの予約票に書かれた『4号』の文字。それに気がついたのはタツヒコだった。
最初のコメントを投稿しよう!