18センチに祈りをこめて

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「それが…………今回は長い仕事になりそうで、クリスマスまでに帰ってこれないかもしれなくて」  それで元気がなかったのか。せめて少しでも励まそうと何か声をかけようとしたナオヤだったが、メイがまくしたてるように言う。 「でも、私が帰れなくても、ちゃんとケーキは受け取りに行ってくださいよ。もうお金払っちゃったんですから。わかりましたね、絶対ですよ」 「わかった、わかったから」  メイに圧倒され、ナオヤがなだめるように言うと、彼女はふっと柔らかな笑みを浮かべた。 「よかった。それじゃあ…………」  そう言って、メイは玄関へ向かい、ドアノブに手をかける。 「終わったら寄り道せずに真っ直ぐ帰ってくるんだぞ」  まるで子供扱いのナオヤ。でも、これもいつも仕事へ行くメイに言う決まり文句みたいなものだった。こう言うと、「子供じゃありません!」とメイがむきになって言うのも決まり。でも、今日は………… 「いってきます」  ナオヤの方を振り向きもせず、ただ一言そう言うと、メイは出ていってしまった。
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