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らしくないメイの態度。
「今日はいやにあっさりしてたな…………」
メイが出ていったあとの玄関を見つめながら、ナオヤはぽつりと呟く。違和感が胸の中に広がる。
同じく違和感を感じたタツヒコは、読んでいた文庫本をテーブルの端に置き、ナオヤのノートパソコンを自分の方へと引き寄せる。そして、確認するための画面へ切り替える。 メイに下された仕事を確認するために。
そして、メイの仕事を確認したとたん、それまで無表情だったタツヒコの顔が険しくなる。
「…………28エリアだ」
「え?」
「メイが行く、今回の戦場」
タツヒコの声に、ナオヤの頭の中は真っ白になった。
「嘘、だろ…………」
「いや、嘘じゃない」
「だって、28エリアは…………」
「あぁ、激戦地だ。今は時間稼ぎするためにただ戦力をつぎ込んでるだけだって話だ」
幹部候補生のタツヒコじゃなくても、28エリアの惨状は知っていた。そして、そこへ送られたものが二度と戻ってこれないことも。
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