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【遊賀 黒鵜視点】
僕の名前は遊賀 黒鵜。皆からはクローやブラックと呼ばれる事が多かった。クローはまぁ名前だからいいが、ブラックは正直嫌だった。
容姿は黒の長髪で、左目が隠れるぐらい前髪は長い。何故長くしているのか?左目には大きな痣があるからだ。
まるで紋章のような…痣が形とって、十字架のようになっているんだ。見せながら歩けば僕は怖がられる存在だ。
社会に出れば、頭髪に厳しい会社が多い。髪染めなどもってのほかだ。黒の短髪、それが社会の常識って事になっている。
僕は違う。そんな事を考えはしない。痣を消す事が出来れば苦労なんてしてない。
「遊賀君、君はいつ髪を切ってくるのかね?」
この会社はマナーに厳しい。僕の髪が長い事に毎日突っ掛かってくる上司、僕を見て大丈夫だと真似をする部下。僕は好きでこんな髪型にしているわけではない。
「切らないですよ。何回目ですか?その言葉」
バンッ!!
「いい加減にしろよ、君のせいで下の者はマナーを反して良いと自覚してしまう!君のせいでな!」
僕の机を叩いて、怒鳴り散らしてくる上司。僕はこの会社に入って2年目だ。まだ新米でもあり、立場も低い。
僕は席から立ち上がり、上司を無視して部屋から出て行く。小さなオフィスの為、今ので僕達に注目の的になっているからだ。
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