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運命の宝石
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天使の慈愛には命と運命の重みの接点で輝く心の光の美しさ、そこでしか咲かない命の花の美しさを見せて欲しい思いがあった。天使は祈る思いで言葉を付け加えた。
「ココ、ごめんね。頑張って心の美しさ見せてね」
どうしてもチューリップの悩みを解決したいココは悩んだ。しかしどう考えても解決方法は見つからなかった。
「どうしていいか分からないよ。赤のチューリップさん、赤のままで十分綺麗よ。可愛い! 黄色のチューリップさんも十分綺麗よ、可愛い!」
「ココ、咲いているのたった一回だけよ。私、黄色で咲いてみたいわ」
「私も。たった一回だけだから、赤で咲いてみたいわ」
「チューリップさん、聞いて。一生懸命咲いたのが一番綺麗よ。一番美しいの。赤のままでも黄色のままでも、一生懸命咲いたのが一番綺麗で美しいの」
「ココ、綺麗になりたい理想はね、無限なの」
「私もそう思う。黄色のままより無限の美しさよ」
「あなたたちの願いはね、ありえない事なのよ。ないものねだりよりね、一生懸命咲いた事を喜ぶべきよ。ありえない事よりね、一生懸命を喜ぶべきよ」
「ココ、ありえない事は分かっているの。だから私の悩み、何とかして欲しいの」
「そうよ、私も分かっている。だからココ、私の悩みも何とかして」
「ないものねだりはね、今あるものを失うのよ」
「分かっているわ。私は最高を求めているの。その代償は覚悟しているわよ」
「私もよ。その代償は覚悟しているの」
天使が息を吹き掛けた小枝が、赤と黄色のチューリップに落ちた。それはココの上にも落ちた。チューリップはわめき叫んだ。
「痛い! ココ、助けて! 痛い! ココ、助けて! 早く!」
「ココ、助けて! 痛い! 顔が空に向けられないよ。痛い! ココ、早く助けて!」
ココは自分も怪我で痛いが、力の限り小枝を除けようとした。小枝はココより大きかった。ココは力を振り絞ったが小枝は動かなかった。そこをカラスが通った。
「ココ、止めとけ、馬鹿馬鹿しい! 自分以外の事で骨を折るのは止めよ、馬鹿馬鹿しいだけだよ。骨折ってそいつら助けたってな、せいぜい三日しか生き延びないよ。自分以外の事で骨を折るのは止めよ」
ココは毅然とした言葉で言った。
「カラスさん、それは違うわ。命の尊さに心捧げる行為にはね、馬鹿馬鹿しい事はないの。精一杯咲いている花はね、今が一番大切なの。今が一番素晴らしいの」
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