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運命の宝石
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私はココ。私はアゲハ蝶。私は花が大好き。欠点はお節介焼き。自分では親切にしているつもりだけど。長所はめげない所、明るくね。
いつものようにココは嬉々と花ばなの上を舞い飛んでいた。
「嬉しいね、嬉しい! 綺麗! 可愛い! 私の心浮き浮き弾けている。それが嬉しい!」
チューリップが一杯咲いている上に来た時、ココの心は喜び一杯。
「まぁ、何と美しいでしょう! 私の心、感動で一杯!」
チューリップの一本がココにこんな事を言った。
「ココはいいわね、いつもいつも陽気で心弾けてる。羨ましいわ」
「ありがとう! でもね、チューリップさん、あなたは綺麗よ、美しい! 嬉しいでしょう?」
「私ね、赤で咲いているけどね、黄色で咲きたいわ」
「えっ!」
側で咲いているチューリップはこんな事を言った。
「ココ、私も。私黄色で咲いているけどね、赤で咲きたいわ。赤が羨ましい」
「ええ!」
ココはどう言っていいのか困ってしまった。そこを雀たちが通りかかった。
「ココ、またお節介? 何考えているの?」
「あのね、聞いて。赤いチューリップは黄色で咲きたいって。黄色のチューリップは赤で咲きたいって」
「まぁ! 随分めでたい注文です事。ココ、言ってあげなさい。訳の分からないありえない事で悩んでいるとね、短い生涯すぐ終わってしまうよって」
「花はみんな一生懸命咲いているのよ。短い生涯だなんて言えないわよ」
「ココ、誰より何より自分の事よ。あなたも短い生涯なのよ」
「私はいつも一生懸命。それでいいの」
「勝手にすれば。ココ、ありえないないものねだりで悩んでね、短い生涯台無しにする事程悲しい事ないのよ。たった一度だけよ、生きているの」
「それは分かっているわ」
「分かっているなら何も言わない。親切なら最後までね。中途半端は駄目よ」
「分かっています」
雀たちは去った。その雀たちは離れた所から天使とココを見ていた。
「天使様、ココどうするんでしょうね?ありえないないものねだり、ココどう解決するんでしょうね?見ものだわ」
天使はにこやかに言った。
「簡単よ。ありえないないものねだりはね、心の美しさを見たら消えるの」
「心の美しさを見たら消える?」
「そうよ。見ていてね」
天使は枯れた小枝を手のひらに乗せた。そしてそれに息を吹き掛けた。小枝はふんわり浮いた。小枝はココに向かって飛んで行った。
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