第1章

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    運命の宝石     1ページ  私はココ。私はアゲハ蝶。私は花が大好き。欠点はお節介焼き。自分では親切にしているつもりだけど。長所はめげない所、明るくね。  いつものようにココは嬉々と花ばなの上を舞い飛んでいた。 「嬉しいね、嬉しい! 綺麗! 可愛い! 私の心浮き浮き弾けている。それが嬉しい!」  チューリップが一杯咲いている上に来た時、ココの心は喜び一杯。 「まぁ、何と美しいでしょう! 私の心、感動で一杯!」  チューリップの一本がココにこんな事を言った。 「ココはいいわね、いつもいつも陽気で心弾けてる。羨ましいわ」 「ありがとう! でもね、チューリップさん、あなたは綺麗よ、美しい! 嬉しいでしょう?」 「私ね、赤で咲いているけどね、黄色で咲きたいわ」 「えっ!」  側で咲いているチューリップはこんな事を言った。 「ココ、私も。私黄色で咲いているけどね、赤で咲きたいわ。赤が羨ましい」  「ええ!」  ココはどう言っていいのか困ってしまった。そこを雀たちが通りかかった。 「ココ、またお節介? 何考えているの?」 「あのね、聞いて。赤いチューリップは黄色で咲きたいって。黄色のチューリップは赤で咲きたいって」 「まぁ! 随分めでたい注文です事。ココ、言ってあげなさい。訳の分からないありえない事で悩んでいるとね、短い生涯すぐ終わってしまうよって」 「花はみんな一生懸命咲いているのよ。短い生涯だなんて言えないわよ」 「ココ、誰より何より自分の事よ。あなたも短い生涯なのよ」 「私はいつも一生懸命。それでいいの」 「勝手にすれば。ココ、ありえないないものねだりで悩んでね、短い生涯台無しにする事程悲しい事ないのよ。たった一度だけよ、生きているの」  「それは分かっているわ」 「分かっているなら何も言わない。親切なら最後までね。中途半端は駄目よ」 「分かっています」  雀たちは去った。その雀たちは離れた所から天使とココを見ていた。 「天使様、ココどうするんでしょうね?ありえないないものねだり、ココどう解決するんでしょうね?見ものだわ」  天使はにこやかに言った。 「簡単よ。ありえないないものねだりはね、心の美しさを見たら消えるの」 「心の美しさを見たら消える?」 「そうよ。見ていてね」  天使は枯れた小枝を手のひらに乗せた。そしてそれに息を吹き掛けた。小枝はふんわり浮いた。小枝はココに向かって飛んで行った。
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