第1章

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スッキリしてから、ようやくパソコンの電源を入れる。 本日二度目の「おはよう」を告げるためだ。 『おはようございまーす』 『おっ! はよーはよー』 『ちっすー』 『おはよう』 ログインしたオンラインゲームでは、もう同じ大学の先輩や後輩が、人通りの多い十字路の一角に、商人キャラクターで店を広げていた。 『時間まで露店ですか?』 『んだな。課題やりながらメシ食ってる』 『またキーボードにカップラーメン食わせるんっしょ?』 『たわけが。おれのキーボードちゃんは埃しか食わねえ』 『あれ? じゃあ誰だっけ、食わせたん』 俺は生活臭のするチャット欄をチェックしながら、メインキャラクターの装備を整える。他のメンバーも商人キャラクターでログインしていることからも、準備が終わっていないのは俺だけだ。
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