天人と魔人

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感情が高ぶり、私は力を解放させる。天使の翼を広げ、天力を高める。ただ、感情に身を委ねはしない。心は熱く、頭はクールに……これが、あれから学んだことだ! 「待ってくださいリーさん!私も……」 「オルちゃんは、結界をどうにか出来ないかお願い!結界を張った本人を倒せば結界が解けるのが王道……とは言っても、そうじゃなかった場合ここから出られなくなる!」 確かに、オルちゃんと力を合わせた方が心強い。けど、ここから出られなくなる事態になっても困る。ここは、同時進行だ!それに…… 「大丈夫!レイもいるし、何だか力が湧いてくるの!」 「キシシシ……結界を張った本人を倒せば、か。それはつまり、アタシを倒せるつもりってことだよな?」 オルちゃんの心配を払拭するような言葉は、決して強がりではない。これまでにないほどに、内から力が湧き出てくるのだ。竜を伏し倒す力を出せる、レイの存在もあるのだ。 そんな私に対して吐き捨てるように言った彼女は、その背中から悪魔の翼を生やす。同時に、さっきまででも感じていた魔力の圧力が増す。物凄いプレッシャーだ。……魔王であるヒロトの魔力を感じていなければ、固まっていたかもしれない。 その直後、黒い悪魔の翼から、片羽ずつそれぞれ黒いレーザーが放たれる。両翼合わせて二つのレーザーは、一直線に私に狙いを定める。 「くっ…!」 咄嗟に防壁を張るも、二つのレーザーの激突により……数秒と持たず、防壁を破壊されてしまう。 「きゃああ!」 「おらぁあ!」 気付けば、吹き飛んだ私に平行するように並んでいる。私の防壁を破った直後、飛ぶように追いかけてきたのか……!何て速さだ! その右拳に闇のエネルギーを集中させる。それはオーラとなり拳に纏う。これも咄嗟に、私は光のエネルギーを同じように右拳に集中させ……互いに、打ち合うように拳を放つ。 「ぐ、ぅ……うぁあああぁあ!」 数秒の衝突。拳と拳。散る火花。……しかしすぐに私の拳は押し切られ、地に体ごと打ち付けられてしまう。 「か、はっ……」 打ち付けられた衝撃から体内の空気が吐き出され、同時に血も吐き出される。速さも、力の強さも……魔王や悪魔四神といった上級悪魔を除いて、今まで会った悪魔とはレベルが違う。 この子、やっぱり……強い!
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