天真爛漫娘と高笑いお嬢様

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神技テストの結果が悪い俺に対し、正面に立つ元気な幼なじみ、アカリは元気に励ましてくる。学園最底辺の俺を、学園トップのアカリが励ましている。その様子を見る周りからの目には、やはり優しいものはない。 「何であんな奴に……」「いくらやっても無駄だ……」……言われているわけでもないのに、まるでそういう台詞を耳元で囁かれているようだ。それほどに、俺のテスト結果は、Eランクという評価はひどい。 例えば、遠くの的に力の塊を当てるテスト。これはダーツに似ているだろう。神力を、矢なり弾なりと自分の中で想像した形にして、それをダーツの矢として放つものだ。精密さが求められるこのテスト、俺の場合は狙いがことごとく外れ、挙げ句力の大きさが謝って的を壊してしまう。ちなみに、アカリは百発百中、全弾中心に命中だ。 例えば、単に力の大きさを計るテスト。火で例えると、アカリを太陽のそれだとすると、俺はろうそくの火だ。……さすがに言い過ぎ、だと言い切れないところが悲しいところである。 これがほんの一部であるが、とにかくテストの結果は散々なわけで。この結果には、もうため息しか出ない。 「はぁ……」 「ヒロト、ため息をつくと幸せが逃げるんだよ?」 「わかってるよ。あれだ、空気の入れ換え的な?」 「疑問系で返されても」 日々練度を上げようと努力しているが、努力に結果が着いて来てくれない。そのことに思わず根を上げそうになることもあるが……諦めたくない。それに、近くで応援してくれる奴がいるから、格好悪い真似は出来ない。いや、もう格好悪いんだが、これ以上はって意味な。 そんなことを考えながら、話しかけてくるアカリに受け答えしていたところに……妙に明るい、というかうるさい声が響く。 「アカリさん!次は負けませんわよ!」 耳をつくんじゃないかと思えるほどに大きな声。その聞き覚えのありすぎる声に、内心で「またか」と思いつつ声の方へ視線を向ける。そこへやって来ていたのは、アカリと同じくAランクである、オルテリア・サシャターンだ。
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