天真爛漫娘と高笑いお嬢様

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赤髪ショートのアカリとは対称的に、腰まで伸びた青色の髪をなびかせている。それには思わず、目を引かれてしまうほど。まあ、対称的なのは髪だけではない。こう言っては何だが……アカリはお胸のところが成長が著しくない。対してサシャターンは……まあ、でかい。うん。 ……今、アカリから視線を感じた気がする。 「オルテリアちゃん……今回はたまたまだよー。僅差だったし」 次は負けない宣言をされたアカリは、たまたまだと手を振りながら応えている。僅差、というのはアカリの遠慮……というわけではない。この青髪の女の子は実際に、Aランクの中でもアカリに勝るとも劣らない実力者なのだ。それ故か、サシャターンはちょくちょくアカリに勝負を仕掛けている。 「僅差でも負けは負けですわ!次こそは……あら、そちらは……えっと、確か、“落第の弾丸”さんじゃなかったでしたっけ?」 僅差でも、負けは負け。彼女はそのお嬢様みたいな喋り方から予想される通り、プライドが高いらしい。お嬢様みたいな、というか、実際にどこかのお嬢様らしいのだが。 会話の途中、アカリの隣にいた俺に気付いたらしい。彼女の口から出た、アカリと同じような二つ名。そもそも本当に誰が付けたのか。この学園では良くも悪くも『有名人』に二つ名が付けられている。アカリの場合は良くもだが、俺の場合はもちろん悪くも、だ。 そんな俺に付けられた二つ名……それがこの、“落第の弾丸”。さらっと聞いただけではかっこよく聞こえるかもしれない。が、問題はその意味。落第というのはそのまま、今の俺の状態、最底辺ってのを表している。弾丸ってのは、おそらく止まることがないという意味。……つまり、ずっと最底辺、最底辺のまま一直線、とかそんな意味で付けられたんだろう。
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