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そんな俺の二つ名を口に出したサシャターンだが、だからといって何かを気にした様子もない。そのまま彼女は、俺とアカリとで視線を交互に移して首を傾げる。
「そういえば……お二人はご一緒していることが多いですわね。お友達ですの?」
「私とヒロトは、幼なじみだよ!友人なんかよりよっぽどかたーい絆で結ばれてるのさ!」
そう答え何故か「えっへん」と小さな胸を張るアカリを見つつ、再び俺に視線を向けるサシャターン。その曇りのない瞳に、俺は思わずたじろんでしまう。
「何だよ、どうせAランクのアカリとEランクの俺が一緒にいるのが変だって思ってんだろ?」
だから、とっさに口をついて言葉が出てしまう。何て態度の悪い奴なんだろう。だが実際、そんなことを言われたことは多いのだ。むしろ、今言ったように直接的なこともな。だから、こんな対応なってしまった。
アカリは成績はずば抜けているし、フレンドリーな性格で裏表がない。おまけに幼なじみの俺から見てもルックススタイルはいいし、ファンクラブが存在しているとかなんとか。そんなアカリと一緒にいるのが学園最下位なんて、認めない奴が多いのだ。だから、何かとアカリに勝負を仕掛けているこいつもきっと……
「?いえ、そんなこと思ってませんが……というかアカリさんが望んでご一緒しているのでしょう?それをとやかく言うつもりはありませんわ」
「……え……あ、そう」
返ってきたのは、予想だにしないものだった。てっきり、何かしら言われると思っていたのだ。まあ、何かしらは言われたが……それは今まで言われてきた悪意あるものとは別のものだった。アカリがいるから直接的には言われないかも、どころのものでもなく、そこには何の悪意もなかった。。
「聞きますわよ、貴方の噂。落第生、最底辺。実力もその二つ名の通りひどいものです。さっきのテストを見てそう思いましたわ。正直才能の欠片も感じられません」
「ちょ、ちょっとオルテリアちゃん……」
続けて言われるのは、ボロクソな内容の俺への評価。まあ、その通りだから言い返す言葉もないんだがな……
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