268人が本棚に入れています
本棚に追加
「……けど貴方、相当努力しているみたいですわねら見ればわかります。報われない努力なんてありません。いえ、それ以前に、その努力の量は誇っていいものでさ。周りが何と言おうと、貴方は堂々としていいと思いますよ?」
ボロクソな内容……だと思っていたが、その後紡がれたのはまたも予想だにしない言葉。その言葉に、俯きがちになっていた俺は顔をあげる。素直に、驚いたり今まで陰口や暴言を吐かれることはあっても、こんな言葉をかけられたことなんてなかった。
いや、アカリ以外には、なかった。
「ちょ、何で泣いてますの!?」
「いや……神様は不公平だけど、天使はいたんだなって……」
今目の前に天使を見た。今までお嬢様タイプのいけすかない奴だと思っててごめん。
「オルテリア様……」
「様!?止めてください!」
「おい、“爆炎の魔女”が落第生を泣かせてるぞ」
「違いますわぁー!」
おかしい、涙が止まらないや。そんな俺を見て慌てるオルテリア様と、はやし立てる周りの生徒達。ちなみに今台詞にあった“爆炎の魔女”、それが彼女、オルテリア様の二つ名だ
その由来はというと、学園内の家庭科室で料理をしていたところ、調理室の半分を吹き飛ばしたという話から来ている。本人曰くハンバーグを焼いていただけとか。神力関係ない。
「ちょっと!様付け止めてください!」
心の中で様付けしていたのがばれてしまったらしい。
……涙も引っ込んだところで、何気なくアカリを見る。するとさっきまでの俺達のやり取りを見ていたらしいアカリが、何だか不満そうな顔をしているのだが……どうしたのだろうか?
「私のことはオルテリアで構いませんわ、落第さん」
「わかったよオルテリア……って、落第さんって俺のこと?」
「はい。あ、もちろん侮辱の意味はありませんわ。落第……最底辺というのはむしろ、これより下はないということ。何事も前向きに考えることですわ」
最初のコメントを投稿しよう!