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「努力はいずれ身を結びます。それに私は努力している人が好きですから、応援したくなるんです」
「!」
何気なく言われたその言葉に、思わず顔が熱くなる。さて何と反応したらいいものか……返答に迷っていると、その前にアカリが出てきた。俺と、オルテリアの間に割り込むようにして。
「オルテリアちゃん……次のテストでは私が圧倒的に勝つから」
それに、普段は勝負の勝ち負けにこだわらないアカリからの思いがけない言葉。何だろう……笑顔なのに、何だか怖い。
「宣戦布告ですわね!?ですが、珍しいですわねアカリさんがそのようなことを言うなんて」
「どうしたんだよアカリ。何からしくないぞ?」
「知らない!」
「ぐはっ!?」
勝負に勝つ、よりは楽しむがモットーだというオルテリア。それはアカリにも似たところがあり、勝負だ勝負だとは言っても何だかんだ楽しくやってきていたはずだ。が、今のアカリからは無言のプレッシャーを感じる。怖いくらいに。
そこで俺は、らしくないと告げる。それだけで……アカリは俺に、無言の腹パンをおみまいして去っていく。神力がなければ非力な女の子、というわけでもない。普段から基礎体力も大事だと体を鍛えているアカリの力は素でもなかなかのものだ。おまけに油断しているところにだ。
思わぬ攻撃にしゃがみこんでしまう。情けないと思うならどうぞくらってみてほしい。神力の拳は電柱を砕くとはいえ、素の拳でも瓦一枚くらいなら割れるのだ。……正直……痛い。な、何で俺は殴られたんだ……?
「どうしましたのアカリさん……」
「さ、さあ……」
痛むお腹を押さえ、殴られた理由のわからない俺は、怒っているらしきアカリが去っていくのをただ見ているしかなかった。
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