出会いのキノコ狩り

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「なあアカリ、何で機嫌悪いんだよ」 「べっつにー?機嫌なんてこれっぽっちも悪くないし」 現在、俺とアカリは、いつものように中庭で昼食をとっていた。雨の日はさすがに室内で済ませるのだが、晴れの日はこうして毎日中庭に足を運んでいる。しかも今日は雲一つない快晴というやつで、外で食べるにはうってつけの日だ。 他にも、わいわいと賑やかな声が聞こえる。俺達と同じように昼食中の者、元気が有り余っているのか走り回っている者、お喋りに夢中になる者……ここは、みんなにとっての憩いの場なのだ。 中庭の、というより神力学園の象徴の一つとされる巨大な噴水。その傍らのベンチに腰掛け、俺とアカリは弁当を食べている。俺にはそんな技術はないので、これはアカリのお手製だ。元々アカリは料理が得意ではなかったのだが、神力学園に入学することになったのをきっかけに料理を覚えたのだと。 ちなみに神力学園は全寮制で、学園の近くにある寮に生徒は住むことになっている。実家から離れるということもあり、料理の一つでも出来なくちゃと意気込んだらしい。料理の教えを指導してくれたのは、アカリの妹であるユメちゃんだ。 ユメ・ヴィールズ。アカリの妹で、現在中学生になったばかりだ。小柄であるアカリよりも背が低いのだが、アカリよりもしっかりしているためたまにどちらが姉かわからなくなる。アカリの家に遊びに行ったときなんかはよく遊んでいたものだ。 そして、これがアカリにそっくりなのだ。双子なのではないかと疑いたくなるほどに。肩辺りまで伸びた明るい赤毛を後ろに一本にまとめポニーテールにしているのだが、髪型を揃えれば本気で見分けがつかないかもしれない。
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