出会いのキノコ狩り

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やっぱりか。つまりこの人は、この膨大な資料の処理と散らかりまくった部屋の片付けを俺にやらせようというのだ。 「片付けくらい他の生徒や先生に任せればいいじゃないですか」 「この部屋は私の部屋でもあるんだ。そんなことでは示しがつかんだろう。これでも、学内じゃミステリアスな美人教師として通っているんだ。そんな雑な姿は見せられん」 「俺に任せてる時点で示しは?」 「何だ、欲しくないのか?単位が」 「くっ……」 腰まで伸びる水色の髪。耳にかかったそれを払う姿は、なるほど確かに一枚の絵画のようにさえ思える。流し目で俺を見る目には、鋭いものがあるけれど。……そう、俺が先生を手伝う理由は彼女が今言った言葉にある。神力を持つ生徒の為の学園とはいえ学校は学校。進級するにも一般の学校と方針は同じわけで…… 要するに、DならまだしもEランクの俺では進級すら危ういというわけだ。もし進級、卒業できなければ一生をこの学園という檻で過ごすことも考えられる。何せここは神力の使い方を学ぶ場所。卒業できないような、神力もろくに使えない奴を野に放つと何が起こるかわからないからな。 だがこうして、先生のパシリ……いや手伝いをすることで、進級に必要な単位を何とか誤魔化してくれるという。 「でもいいんですか?こんなことでおれの単位を上げて、Eランクのおれが進級……卒業することになって、野に放たれちゃっても」 「何だ、お前進級も卒業もしたくないのか?」 「したいです……」 自分で自分の首を絞めるような発言だが……進級も卒業も、したいのは事実だ。
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