自称神様と最弱少年

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……裏山にキノコ狩りに来たら、気付けば目の前に血を流した女の子が倒れている。面倒な用事を言い付けられ、仕方なしにしかしさっさと済ませて帰ってしまおうという気持ちでいたのに、とんでもない現場に遭遇してしまった。 恐る恐る視線を向ける。流れる血が白い服を赤く染めている。どうやら腹に傷口があるようで、本やテレビの知識だが拳銃で撃たれたのだということがわかる。神力のあるこのご時世に銃とは。……ということは、犯人は神力を使えない人間か。 ……うん、多すぎるな。 神力とは大人になるにつれ自然と消滅していくものらしい。それでもごく一部大人でも使える者がいる。神力学園の先生もほとんどがそうだ。なので、それで犯人が子供か大人かの判断材料にはならない。 ……っと、こんなこと考えてる場合じゃないな。とにかく手当てしないと…… 「とは言っても……どうする」 怪我なんて、神力でぱぱっと治せる。治療に特化していればまるで魔法みたいに傷を治せるし、そうでなくとも応急措置くらいは出来る。しかしそれは、神力を使える人間の話。 俺は神力を使えないし、医療の知識もない。何より周りでは、神力を使った治療しか見たことがないために、普通の治療行為もどのようにすればいいのかわからない。 かすかに息はあるようだが、こうしている間にも女の子の体は死に近づいていっているはずだ。こんなとこで考え事をしている場合ではないというのに……こうなれは、慎重且つ大急ぎで、この子を背負って山を下りるか?いや、それでも全く衝撃がないわけじゃないし……
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