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そしてこの力は、誰にも備わっているわけではない。今から俺達が通う学校、神力学園に集う生徒はこの力を持っている。いや、この力を持っている者が集められる、と言ったほうが正しいか。
しかし、神力学園とは何と安直な名前と思ったが、まあその為の学園なのだから当たり前と言えば当たり前か。
「ところで今日は神技テストだけど、ヒロト大丈夫?」
隣を歩いていたアカリが一歩前に出て、くるっと回る。赤毛の髪がふわっと揺れ、くりっとした目で俺を見つめてくる。アカリは女子の中でも小柄な方なので、俺を見る体勢は自然と上目遣いになる。大きな、真っ赤に燃えているような赤色の瞳が俺を覗き込んでくる。
神技テストとは、神力をどの程度、どのレベル扱えるか、それらを確認する行事。……まあ、その名の通りテストだ。
「そういうお前はどうなんだよ?」
俺のことはいい。ごまかすように問い掛けを返す。まあ、聞くまでもないんだが。俺の問い掛けに対して、アカリは……
「私?ふふーん、私を誰だと思ってるの?数多の生徒が集う神力学園の中でも、一、ニを争う超絶美少女の実力者、"閃光の輝き"アカリ・ヴィールズ様ですぜ?」
自信満々にその小さい胸を張る。決まりはないが、いつの間にか二つ名まで付けられていたのだ。閃光とは、入学してから目まぐるしい速度で実力を上げていったということから付けられたようだ。カッコいいと本人は喜んでいる。
だが閃光と輝きの意味が重複しているのに本人は気づいていない。誰が言い出したのか知らないが付けた奴も付けた奴だが、気づかない本人も本人だ。だが実際、入学してからのアカリの成長速度は目を見張るものがあり、二つ名が微妙なことを踏まえてもすごい人物である。
そんなアカリと一緒にいる俺も、さぞや凄まじい実力なんだろう……そう期待されてしまうことも、アカリの近くにいた俺には珍しくなかった。初めの頃こそ。
……そんな、俺の実力はというと……
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