268人が本棚に入れています
本棚に追加
衝撃がダイレクトに伝わり、咳込む。だが倒れているわけにはいかない。何とか、立ち上がろうと腕に力を入れる。
「どうしたよ、力が湧いてくるんだろ?精霊様の力を借りてもいいんだぜ?」
挑発するように、私を嘲り笑っている。ようやく立ち上がった体も、足がふらついてしまっている。
「リーさん!この……!」
「っは!」
じっとしていられないと思ったのか助太刀に入ろうとするオルちゃん。だが彼女に向かって、悪魔と人間のハーフの女の子は攻撃を開始する。翼を広げ、放たれる無数の黒い羽。オルちゃんは神力を使って防壁を張るも……
「こんなもの……なっ…がっ!?」
何と、黒い羽は防壁をすり抜けて、直にオルちゃんを襲う。ただの羽ではないのか、意味の成さなくなった防壁をかい潜った羽はオルちゃんに突き刺さる。
「オルちゃん!」
肩や足など、あちこちに突き刺さった羽。それを受けたオルちゃんは、その場に倒れ込む。
「オルちゃん、オルちゃん!」
俯せに倒れたオルちゃんは、息を荒くして額から汗を流している。しかし、あれだけの攻撃でオルちゃんがこんなになるなんて考えにくい。それとも、見た目に反して攻撃力が高いってこと?
「やめて!どうしてこんな……殺したいのは私でしょ?なら……」
「聞いてなかったのか?言ったろ……私は天使も人間も大嫌いなんだ!」
私は何とか立つが、足元がおぼつかない。二撃……受けたにしろ直撃ではないのに、ここまでダメージがあるなんて。
「どうしたよ?天使と人間の混血ゥ!混血は純血よりも力が強いってあの変態は言ってたが……天使は違うのか?」
不甲斐ない私を煽るように笑う少女。その言葉、初めて聞くものだが、混血は純血よりも強く……だとしたら、この子の力がこんなに強いのも納得するところではある。
「そんな体たらくじゃ、先にあんたのお友達を殺すことになるなぁ?その後は、殺し損ねた赤毛の女だ」
殺し損ねた……そして、赤毛という単語に私は瞬間的にピクリと肩を奮わせる。彼女が言っているのは、まさか……
「ユメちゃん……?」
「お仲間が死んでいく中、『お姉、お姉』だの『ヒロ兄』だのって泣き叫んでたっけなぁ。一緒に殺してもよかったんだが、一人くらいは残しといた方がいい演出になるだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!