天人と魔人

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オルちゃんを、そしてユメちゃんを手に掛けようとしている、目の前に立つ悪魔。その言葉に、力の入らなかった体に力が湧いてくる。いや、無理矢理にでも力を入れる。みんなに、これ以上手出しなんて……させない! 「おっ、そうこなくっちゃ」 構える私を見て、口笛が一つ。相手にも注意を払いつつ、オルちゃんを確認。見た感じは致命傷でないにしろ、早く治さないと…… ……でも、オルちゃんの苦しみ方が異常に見える。致命傷でもない攻撃で、あそこまで苦しがるものだろうか……?そのことを不審に思う私の疑問をまるで読み取ったかのように、張本人が口を開く。 「あ、言っとくと……今あの青髪が受けたアタシの羽、毒だからほっといたら死ぬぜ?」 「……は」 いきなり、何を言うのか。鈍器に頭を殴られたような衝撃が、走った。 「!ど、く……?」 「キシシシ……ついでにいいこと教えてやるよ。毒が全身に回るまで、ざっと十分……その青髪女の命は、残り十分だ」 まるで、面白い映画の感想を告げるような……そんな、無邪気な顔で、恐ろしいことを口にする。 「ま、別に毒なんて教える必要はねえんだけどよ……その方が緊張感あって、お前もなおさら燃え上がるかと思ってよ。いやー、教えてやるアタシ親切親切」 毒……しかも、十分で全身に回り切る?愉快に喉を鳴らす少女の言葉に衝撃を受けつつ、苦しんでいるオルちゃんに視線を向ける。衝撃の告白に頭を揺らす私を心配させまいと、倒れている彼女は口を開く。弱々しく。 「リー……さん。私は……だい、じょうぶ……ですわ。こんな……毒くらい、神力でどう、とでも……」 苦しそうにしながらも、オルちゃんは私を心配させないために優しく笑顔を浮かべる。確かに、オルちゃんの力なら治療にも事欠かないだろうけど…… その言葉の直後、神力の光がオルちゃんを覆っていく。そのまま、オルちゃんの体調は良くなって…… 「うっ……どう、して……?」 体を光が包んだ。なのに、良く……ならない?オルちゃんの力が、効かない? 「神力っつったっけ?んなもんでアタシの毒を防げはしねえよ。それに、足掻けば足掻くほど死期を早めるだけだぜ?」 さっきの、オルちゃんの防壁をすり抜けたことといい……今の、オルちゃんの回復が上手くいかなかったことといい……オルちゃんの力が……というか、神力が効かない? この子は、一体……?
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