天人と魔人

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吐血し、決して無傷とは言えない姿。それなのに、こうも危機感に体が震えるのは何でだ?こうしている間にも、少女は一歩一歩とこちらに足を向けてくる。……近づけては、いけない。 「はぁあああ!」 指を拳銃の形にして、少女に向ける。その指の先端に天力を集中し、それを光の弾、弾丸として次々と撃ち放っていく。それらは狙いが狂うことなく、少女へと向かっていく。これでも、学園にいた頃はコントロールだけはアカリちゃんにも劣らないと言われていたんだ。 「ちっ……うざってえ!」 正確に少女へと放たれるそれを、鬱陶しそうに少女は弾いていく。威力のある攻撃ではないにしても、レイのおかげで力は上がっている。それを、まるで虫を払うようにして…… それを避けることもなく全て弾くのは、この程度の攻撃では怯まないという証明だろうか。それならば、こちらにも考えがある。複数弾放たれる光の弾……その中に、いわゆる閃光弾のようなものを仕掛ける。それは、少女へと到達する前に…… 「……っ」 激しい輝きを放つ。突然目の前で激しく輝くそれを直視してしまった少女は、あまりの眩しさに目を閉じてしまう。その隙が、アダとなる。同時私は飛び出し、右拳に天力を集中! 「"天拳"!」 竜を伏し倒したものと同等の力が、相手の腹へと直撃する。めりめり……と減り込んでいくのが伝わる。 「っ、がっふ……!」 直撃し、吐血する。先程光の塊をぶつけた時のように吹き飛ばないのは、先程よりも気合いを入れているからか。その気合いに恐ろしさを感じながらも、このまま一気に畳みかけることを決意して…… 「……!?ぐっ……ぁ!」 今まさに、追撃を試みた時だ。急に、体の内側に痛みが……まるで、心臓をわしづかみにされた感覚が襲う。それは、覚えがある。だが、この戦いによるダメージではない。……くそっ、まさかこんな、時に…… ……私の天力が体に影響を及ぼし、以前より力の使い勝手が良くなったリスク……とでも言うべきか。人魔戦争を機に付き合うことになってしまった、いつ来るとも知れない、言いようもないこの痛み。 それがまさか、ここで……!
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