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雑に折れ、先端が鋭く尖った枝。それが、私の手を貫通していた。細くも固いそれは、肉を突き破り……地面に先端が触れる。流れる血が、先端を、地面を……赤黒く染め上げていた。
「こえーよなあ。いつも目にしてる変哲もないものが……ちょっとしたことで凶器に変わるんだ」
愉快に話す少女の声。だがその声に、一瞬の揺らぎがあったように思う。が、そんな些細な問題はすぐに痛みに塗り潰される。ただの小枝が……今では私の体を封じ、手を地面に拘束している。
「これでお前は終いだ。そこの女も、もうじき死ぬ」
話の途中にも、起き上がろうとするが……力を入れているのに、全然力が入らない。それどころか、足に力を入れられ腹を圧迫される。再び反撃しようにも、刺された小枝に力を加えられたり、ぐりぐりとかき回され……思考が、痛みに支配され無理やりに反撃の意思を中断させられる。
彼女が視線を向ける先には、毒に苦しむオルちゃんの姿。手を地面につき、四つん這いの状態で苦しんでいるオルちゃんはそれでもなお、私に視線を向けている。その瞳は、まるで私のことを心配しているように揺れていて……
こんな時でも、自分のことより……
「はぁ、はっ……ぐっ」
「どうした?あぁそうか、お友達のために頑張らなきゃなぁ」
体をよじる。痛み……それが、何だと言うんだ。ここままじゃ私だけじゃない。オルちゃんは毒にやられ、その次はユメちゃん、それにエドさんやスカイくんも狙われるだろう。
わかったことがある。ヒロトは悪魔の目的を、星を壊す人間を滅ぼし人間の手で星をリセットすることだと言っていた。それが本当か嘘かはこの際どうでもいい。……この子は、そんな目的のために動いていない。純粋な、破壊衝動……それが、この子の根本にあるものだ。
そんな存在を放っておけば、仲間達がどうなるか……だから、ここで痛みなんかに負けている場合ではない!
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