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「しな、せない……みん、なを……絶対……私が、みんなを……!」
手がちぎれても構わない。内蔵が飛び出ても構わない。だからどうか、ここでこの子を止めるだけの力を……
その言葉を口にした瞬間……彼女の肩が、少しだけ震えた気がする。
「死ぬんだよ、みんな。お前のせいで」
私の決意を嘲笑うように、降りかかる冷たい声。それはなぜか、熱くなっていた私の心を、一瞬で冷やしてしまうかのようで。まるで、氷の入った冷水を頭から被ったようで。
「わた……しの……?」
「お前にも覚えがあるだろう」
私を見つめるその瞳は……私の心を、見透かすかのようなもので。その言葉は、私の心に恐ろしく入り込んでくる。
「知ってるぜ?天使の子供のお前がいたせいで、父親が襲われた。お前が救えなかったせいで父親が、友人が死んだ。お前がいたせいで、そこの青髪女は苦しみもうじき死ぬ。お前がいたせいで、周りの人間は不幸になる」
「ち、違う……」
「お前が、お前が……」
私を責めているのか。やめて、やめてくれ。私は、私がいたから……?
「お前がいたからお前のせいだお前が悪いお前さえいなければお前には誰も救えない」
「な、にを……それは、私のこと?それとも……」
「……アンタなんか、生まなきゃよかった」
饒舌になっていく少女は、私を責め立てる。いや、これは本当に私のことなのだろうか?確かに……私のせいで救えなかった命がある。それを、指摘されもした。私も認めることだ。……だけど、その瞳には私は映っていない。これはまるで、自分の……
「……この、疫病神が」
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