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そこまで言い切り、彼女は一度手で顔を覆う。そうして、次に顔を見せた時には、その瞳には私の姿を映していた。そして、ゆっくりと足を上げる。その足に、闇のエネルギーを集中させて……
「せめてもの慈悲だ。バランダ……それがアタシの名前だ。自分を殺した相手の名前くらい知っとかねえとな」
言って、少女……バランダは、笑みを浮かべる。バランダって……確か、組織『天』で天使に化けた悪魔サラリアが言っていた、バックについている悪魔の名前……
考えている頭が、思考を放棄し始める。視界がぼやける。このまま何もしなければただ殺されるだけだ。抵抗しなければいけないのに……体が、頭が、言うことを聞いてくれない。体に蓄積された苦痛が、『発作』による苦痛が、バランダに投げ掛けられた言葉の刃が……それら全てが、私の心を切り裂いていく。
もう何度も想像した、私を責め立てる声。それが、再び聞こえてくる。お母さんが、お姉ちゃんが、お父さんが、アカリちゃんが、エルシャが、みんなが……
ドクンッ…
私が……私がいるせいでみんなが苦しむ。不幸になる。だったら、私は……
ドクンッ…
「あばよ、リーシャ・テルマニン」
別れのあい拶を残し、闇のエネルギーをマトッた足がついにふりおろさレル。
……私はそれをただ、見つめていた。もう抵コウするちからも、避ける力さえモ残っていナい。
このマま殺されて……オルちゃんの毒も、解ドク出来ずに……みんな、殺される。わたしが、私がふがイナいから……みんな、ごメん…
ぼウ然と顔に迫り来る足を見つめている。マルで、そレガすろーもーしョんになったかのように、景色がゆっくりミエル。だけドそれが、反撃に繋がル隙になるかといえばそんなこトハなく。
かおを潰され、息絶える。己のサイ期を予かんした。……ごめんみんな、先に逝ってるね。でもできルナラ……死ななイで。……アカリちゃん、今から逝くね。
……そこで、私のイ識は途絶……
ブシュッ……
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