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「ヒロト・カルバジナ、Eランク」
「はぁ……」
恒例行事のように告げられる台詞。またこの点数か。日々努力してるのに、一向に成績が上がらない。
「またEかよ……」
「あはは、ださーい」
聞こえてるぞ、このモブ共が。
この神力学園の測定制度には、一般的にA~Dのランクがある。Aに行くほど神力が強く、それ故待遇もいい……まあそんなとこだ。今やっている神技テストがまさにそのランクを計るものである。
ちなみに例外として、Aランクでも測れないほどの神力を持った者はSランクと認定される。とはいえ、Sランクなんて過去一人しかいないらしいのだが。その名前も性別さえも、知っている人がいるのかもわからず半ば伝説のようになっているが。
それで、S~Dでもない俺のEランクとは何か。その答えは簡単だ。それは……
「カルバジナ……一体キミはいつになったら……はぁ。このEランクというのはキミだけなんだぞ?」
「あはは……いつなんでしょうね」
俺の成績を見てため息をつく先生。そう、この学園でEランクは俺だけ……というより、俺の成績がDに収まり切らないほどにあまりにも酷すぎてEというランクが設けられたのだ。
つまり、Eランクとはこの学園で最弱の神力の持ち主という事であり、しかも唯一の人物という事だ。何たる不名誉だろう。
入学してしばらく経つが、神力のレベルが全然上がらないのだ。努力が実らない、とはまさにこのこと。定期的に行われる神技テストの結果以外でも、例えば神力を使う授業なんかでも、俺の神力は見事に別の意味でその力を発揮してくれる。それが重なり、俺の実力が知れ渡ってしまったわけで。
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