神力学園の落第生

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この学園では、少なからず神力が扱える者が集められる。その中では俺のように神力の弱い者も例外ではない。だが、努力したり教えてもらえば、神力は上達するもの。だというのに、俺は全く上達しない。 神様に与えられただとかいうこの力。いくら努力しても応えてくれず、願い事だって聞き入れてくれない。神力が、せめて人並みのレベルになりたい。もしこれが神様に与えられた力ならその願いは叶えられるんじゃないのか。……だけど、そんなことは起こらなかった。 だから俺はアカリの言う、非神教者になってしまったわけだが。 全く、苦笑いが止まらないよ。仮にもSランクが存在したならば、Eランクの俺は学園で唯一という意味では全く同じでありながら、その中身が意味するところは正反対なのだから。 全く上達しない。それも、学園史上初の最低ランク保持者として名を残すことになった。そんな俺を、周りの奴らは次第に『落第生』だなんて呼ぶようになった。 無論、直接呼ぶ奴なんてあまりいないけど。だが影で言われるよりは直接言ってくれた方がいい。 「ま、まあヒロト!焦る必要はないって!今回は調子が悪かったんだって!自分のペースで行こうよ!ね!?」 一人自己嫌悪に陥る俺を慰めるようにやって来る、アカリ。そうやって俺のことを心配してくれるのはこのアカリだけだが、悲しいかなこいつは本人が豪語する通り、一、ニを争う実力者。A~Dランクの中でも最も高いとされる、Aランクの持ち主だ。しかもその中でも上位に入るほど。 "閃光の輝き"などと微妙なネーミングはさておき一年生にして学園の中でもトップクラスの実力を持つのが、このアカリ・ヴィールズなのだ。そしてその側にいる、Eランクの俺、ヒロト・カルバジナ。 そして当然、学園屈指の実力者アカリと、学園屈指の最底辺の俺が仲良くしていることに、周囲でいい目をしない奴らは多い。俺も、俺のせいでアカリまで変な目で見られることになったら良くないと素っ気なくしたりもしたのだが、こいつはそんなの気にせず絡んでくるんだ。全く…… そんなこんなで……俺が通うこの神力学園。ここでは俺は……肩身が、狭い。
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