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「…………え?」
目を覚ますと知らない世界が広がっていた。真っ暗で何も見えない。光すら見えない。何も見えない。夢なのだろうか。頬を引っ張ってみる。痛い。でも目が覚めるとかそういったことはない。いつも通り学校から帰ってきてご飯食べて普通に生活していた。だがこの始末だ。いったい何が起きているのだろうか。
「やあ」
「ッ?!」
背後から声をかけられた。振り向いてみればいつの間にか一人の青年がいた。青年というには背が小さい。少年にしては大きいといったところだ。その見た目は白。白一色だった。髪から目、服まで全部白だった。
「驚いてるね。無理もないか」
「ここは…あなたは…?」
突然真っ暗な世界に突然立っていると思いきや突然真っ白な青年が立って声をかけられれば驚くのも無理はない。
「まずはここがどこが説明しようか。ここは君と、ある人の精神世界。わかりやすく言うと記憶の中の世界。この精神世界は君とある人の記憶でできてる」
「記憶……?でも精神世界ってあれでしょ?」
「君が言おうとしている世間一般で言う精神世界とは別物。わかりにくいか。なら言い方を変えよう。追憶世界と」
追憶。意味としては過ぎ去ったことを思いはせるという意味がある。彼が言った通り自分とある人の記憶の中の世界のようだ。ある人とはだれなのだろうか。
「とりあえず時間がないようだね。僕の名前だけ伝えるよ。僕はエテル。じゃあ、また次会うときね」
「ちょっと、待って!」
自分が叫ぶと同時に視界が真っ白になった。
目を開けると真っ白な天井が見えた。あたりを見渡す。見慣れた部屋だ。ついさっきまで真っ黒な世界にいたのにいつの間にか自室にいた。どういうわけだろうか。さっきのは夢ではなかったのだろうか。
「……追憶世界……エテル………なんだろ……次会うときって…」
夢ならば今さっきの出来事は嘘なのだろうか。では夢でなければなんなんだろうか。自分の頭の中で疑問が渦巻いていた。
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