女神の眼鏡

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二年前の冬のフロア合同忘年会。 貸し切った居酒屋で、ちゃんこ鍋を挟んで向かいに座ったのが、彼女だった。 ぐつぐつと揺れる鍋の蓋を、パカっと開いた彼女。 湯気が黒縁メガネを、コントのように曇らせた。 外された地味眼鏡。 照れ笑いする美女がそこに出現した。 彼女の化粧が地味なのは、まつ毛は天然で充分、シミ一つなく鼻筋は通って、唇は元々ポッテリしてるから。 どれくらい見つめてたんだろう。 「俺の前以外で、眼鏡外さないで下さい。」 これが全てのはじまりだった。 End
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