女神の眼鏡

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「課長、確認お願いします。」 「ん、」 渡されたクリアファイル。 挟まれた書類の一番上に付箋があった。 『今夜、二人で食事に行きませんか?』 デスクを挟んで目の前に立つ制服社員を見上げた。 ああ、この人か。 男性社員に日頃からチヤホヤされてる、メイクや髪型の崩れチェックに余念のない女子社員だ。 「これは却下。」 付箋を縦横に複数回裂いて、目の前でゴミ箱に捨てた。 女子社員はほんのりと頬を赤らめて、すごすごと席へ戻って行った。 ハァ… 心中溜息を漏らして、一服をするために席を立った。 男漁りにでも来てるつもりだろうか? 歩きながら、怒りとも嘆きともつかない感情をどうにかやり過ごした。
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