ようこそ虹色研究部へ

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「おい蘭(らん)、乃季が怖がってるだろ。そんなに睨むなよ」 「うるせぇ。この目付きは生まれつきなんだよ」 「知ってても怖いんだよね」 蘭と呼ばれたその男子生徒は、学校指定外のカッターシャツをビシッと着こなしている。指定のネクタイはやはりしていない。 きっとオシャレにこだわりがある人なのだろう。 耳に掛かるほどの黒髪も、綺麗にセットされていて、形の良い薄い唇はぎゅっと強く結ばれている。 吸い込まれそうな黒い大きな目で睨まれると、身が縮むなぁ。 「蘭は唯一の二年生。口は悪いけど、真面目でいい奴だから」 そう紹介を受けた蘭先輩は、黒く長いまつ毛を伏せて私から目を逸らした。
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