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訳がわからないながらも、とりあえず名前を書き、その紙を男子生徒に返す。
彼は名前が書いてあるのを確認すると、満足気にそれをポケットに仕舞った。
「よしっ。ありがとう! じゃあまたね」
ヒラヒラと手を振った彼は、名乗る事もないまま、足早に立ち去ってしまった。
「一体……何だったの?」
花嵐のような人だった。何年生なのか、それすらもわからない。
登校中の生徒が他にも沢山居る中で、どうして彼は私にだけ名前を聞いたのだろう。
答えが気になっても、本人が消えてしまった以上確かめる術もないので、私は諦めて再び足を進めた。
連絡先を聞かれたわけでもないんだから、大丈夫だよね。
今日から憧れの高校生活が始まる。
期待に胸を踊らせ校舎に入った私は、それから数時間後、地獄を見る事になる。
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