第1章

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とても白く透き通った肌な持ち主だった。 あの女の子、雪枝はどこからともなく 俺の前にあわられ、そして消えた 出会いは混雑した渋谷のど真ん中 スクランブル交差点付近で 俺は佇む雪枝を見つけた。 俺はその時、一人で街をぶらついていたところだった。 大学生で満足に金がない俺は 天気がいい日はもっぱら街をぶらぶらして人間観察をしていた。 この街にはいろんな人がいる。 楽しそうな人、嬉しそうな人 悲しそうな人、怒っている人 さまざまな喜怒哀楽がこの街を色どっていた。 そのなかで、雪枝は唯一 感情を持たぬように見えた。 深い哀しみを背負っているような 綺麗な顔立ちと澄んだ瞳。黒髪が風になびき、さわさわと揺れていた。 人を待っているのか、どこからきてどこに行こうとしているのか傍目にはまったく想像できなかったた。 飛躍して考えれば誰かに声をかけられるのを待っているようにも見えた。
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