第1章

8/8
前へ
/8ページ
次へ
ーカップル狩り 後で警官にそう聞いた。 このところ、立て続けにこの周辺の山道では被害にあっているという。 卑劣な手口で、男はリンチされ金を奪われる。 綺麗な女性を連れている時ほど ヤンキー達の残虐性は増し、女は強姦されることもあるという。 「雪枝はどうなったんですか? 無事だったんですか?」 雪枝の姿が、見えないことが一層の不安を募らせる。 警官が、不可解そうに答えた。 「君、何を言ってるんだ。あの場にいたのは君一人だろう」 「女性の声で110番があったから駆けつけたけど、いくら聞いても 名前を名乗らないんだ。 居場所だけ言うとあとは、《恩返し》って聞こえてプツッと切れたんだ。 至急サイレンを鳴らして現場に着いたら、不良どもが胸や顔を赤く腫らして痛がって伸びていたよ。 まるで、くちばしにでもついばまれたようにね。あと何故か白い純白の羽根が無数に散らばっていたな。 鶴でも出たのか?」 警官は愉快そうに笑った。 雪枝‥.... お前はいったい。 あれから、雪枝とは一切連絡が取れなくなってしまった。 だが、雪枝との記憶はいつまでも純白の雪のように輝いている。 あの時、現場から拾って持ち帰った羽根は 不思議と何年経っても 色褪せない。生き生きと美しく、純白の心で いつまでも俺を 見守り続けている。 完
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加