生はまこと面倒に尽きる

30/46
前へ
/98ページ
次へ
  ぼんやりと、 高校時代を思い出す。 坂田っていうのは、 千佳が唯一 2年もしつこく片想いをした クラスメイトの男の子だ。 思えば千佳の イケメン嗜好は その頃からの刷り込みで、 坂田は確かに 顔だけでなく性格も心根も 悪くなかった。 だが、 坂田は数年前に 別の人と結婚してしまった。 結婚式の三次会で 千佳が泣きわめいて 止まらなかった 苦い思い出も甦る。 あいつが千佳を 受け入れなかったから、 今こんなアラサーに なってしまった気がしてきた。 『世の中には、 似た人が3人だか7人だか いるんでしょ。 あたしはそれに賭けたい』 「あのさ、 そろそろ売り物に ならなくなる 年齢なんだけど。 妥協したほうが楽じゃない?」 .
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1029人が本棚に入れています
本棚に追加