生はまこと面倒に尽きる

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  話しているうちに カウンターにたどりつき、 瑞島さんはいったん 話を切り上げ、 さっき見ていた ダークミステリーの チケットを2枚購入してしまう。 「はい、どうぞ」 チケットを差し出した 瑞島さんを、 おずおずと見つめた。 「……あの」 「ドリンク、必要ですか? 買って入りましょうか」 「そうではなくて」 「誘ったのは僕なので、 あなたは財布を 出そうとなんて しなくていいですからね」 ……およそそんな空気とは かけ離れた、 地べたに叩きつけるような口調、 押し付けられたチケットに 眉根を寄せる。 なんなんだ、 この事務的な感じは。 デートがしたかった わけではないけれど、 どうにも腑に落ちない。 .
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