生はまこと面倒に尽きる

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  はたと黙り込んだ 瑞島さんが気になって、 思わず隣を見た。 彼は不快そうに 眉根を寄せ、 唇をぎゅっと結んでいる。 正面のスクリーンは CMから映画の 予告に変わり、 激しい音楽と効果音が ドカドカとうるさい。 そんな中で 青白く照らされた 瑞島さんの薄い唇が、 うっすらと開かれた。 「……驚いたことに、 未成年ですよ」 「……!?」 大きな音楽の中で 漏らされた瑞島さんの声は、 それでも低く 唸るようなものだった。 彼がひどく 怒っていることが窺えて、 おそるおそる視線を 佐竹さんに戻す。 なにも言われなければ、 ただのカップルだ。 けれど、 男性のほうが 佐竹さんであること、 女性が未成年だと 言われただけで、 じわりといやな気分になる。 .
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